2024年7月18日 (木)

西洋古典研究会第85回研究発表会のご案内

西洋古典研究会第85回研究発表会
日 時:2023年8月3日(土)研究発表  14時00分より
                
場 所:法政大学市ヶ谷キャンパス 大内山校舎 Y804 教室
   ズーム会議による同時中継を行います。*ズームのご案内はこのブログで8月1日の予定
                        プ ロ グ ラ ム
研究発表(発表30分 質疑25分)         14:00 より
  1.プラトン『クラテュロス』における名前の定義の再解釈
                       片山 寛子(学習院大学)
  2.後期メガラ派の哲学と「拡散した」キュニシズム
    ――メガラのスティルポンの事例に即して――
                       長尾 柾輝(東京大学)
             休   憩
総 会                       16:15頃 より
  *研究発表会の終了後、来場の方々との懇親の場を設ける予定です。
────
□会場のご案内:
交通 飯田橋駅 JR総武線、東京メトロ有楽町線・東西線・南北線・都営大江戸線 
   市ヶ谷駅 JR総武線、東京メトロ有楽町線・南北線・都営新宿線
   各駅下車後、JR線線路に沿って徒歩約10分。
 市ヶ谷キャンパス 交通アクセス :: 法政大学 市ケ谷キャンパス
 キャンパスマップ キャンパスマップ : 法政大学 市ケ谷キャンパス
 施設案内(会場Y804教室)大内山校舎|市ヶ谷キャンパス|法政大学 教室設備ガイド
       
発 表 要 旨

 

プラトン『クラテュロス』における名前の定義の再解釈
                       片山 寛子(学習院大学)
 本発表においては、プラトンの対話篇『クラテュロス』の388b10-c1の検討を行う。
 『クラテュロス』は名前の正しさを主題とした対話篇である。ソクラテスは対話相手であるヘルモゲネスとクラテュロスの自説を順番に検討する過程で、ヘルモゲネスに対して名前の機能を自ら定義してみせる(388b10-c1)。ソクラテスによると、名前によって使用者は「お互いに何かを教え合っているのであり、またもろもろの事物をそのあり方に従って区分して」おり、名前は「何らか教えるための道具であり、そしてあり方を区分するための道具」であるという。この文においては「教え合う」「区分する」という機能を説明する二つの語が接続詞καίによって結ばれているのだが、まさにこの点に解釈上の問題があると発表者は考える。というのも、この接続詞καίの解釈次第で、名前には二つの異なる機能が備わっているとも、これらの二つの機能は単一の機能の言い換えであるとも解釈することが可能だからである。しかしながら、前者の解釈を支持するのはKretzmannのみであり、Barney、Sedley、Ademolloら他の多くの研究者はこの定義が単一の機能を表していると解釈してきた。ただし彼らが当該箇所について言及する場合、機能が単一か複数かという点は問題視されず、半ば慣習的に単一の機能の説明だと前提されているように思われる。そこで本発表においては、改めてこの問題を取り扱い、それぞれの立場に従って当該箇所を再解釈したうえで比較する。そのうえで、異なる二つの機能だと解釈した場合の方が、『クラテュロス』全体に対する解釈の幅が広がると論じる。

 

後期メガラ派の哲学と「拡散した」キュニシズム
 ――メガラのスティルポンの事例に即して――
                        長尾 柾輝(東京大学)
 ソクラテスの死後、彼の弟子筋からは多くの「学派」が派生した。それらのうち以下の五派については、現存資料を通じてある程度の概要が知られる。
 1.アテナイのアンティステネスに由来するキュニコス派。
 2.キュレネのアリスティッポスに由来するキュレネ派。
 3.メガラのエウクレイデスに由来するメガラ派。
 4.エリスのファイドンに由来し、エレトリアのメネデモスが刷新したエリス゠エレトリア派。
 5.アテナイのプラトンに由来するアカデメイア派。
一般にわれわれは、西洋哲学史上きわだって重要な位置を占めるプラトンの学統から自余の諸系統を区別し、後者を特に「小ソクラテス派(Minor Socratics = MS)」と総称するならわしである。
 さて、紀元前4世紀末から同3世紀はじめにかけての後期MS思潮は、「拡散した(diffused)」キュニシズムの影響によって特徴づけられる。本発表では時間の都合上、とりわけ後期メガラ派のスティルポンに見出される「キュニコス的」な要素を集中的に分析することで、後期MSがそもそも/いかにしてキュニコス化したのかという問いの一面にアプローチしたい。先行研究は多くの場合、「キュニコス的」という評価をなかば自明のものとして反復してきたが、その妥当性にはいくつかの疑問符がつく。
 議論の構成は以下のとおりである。まず第一節で、スティルポンの思想・逸話・伝記における「キュニコス的」な要素を整理する。次に第二節で、そもそも「キュニコス的である」とはいかなることかを一般的・概観的な仕方で簡単に論じる。そして第三節で、かかる検討内容を具体的な事例へと適用し、第一節に見た諸要素は実際には彼の「キュニコス性」を示すものでは「ない」という結論を導く。そのうえで最後に、こうした否定的結論にともなういくつかの積極的な含意を確認する。

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2023年12月15日 (金)

西洋古典研究会第84回研究発表会 zoom のご案内

 先日この欄でご紹介した西洋古典研究会第84回研究発表会は、zoomでも参加できます。
 zoomで参加なさる方は、以下から入ってください。

Zoomミーティング
ミーティング ID: 837 6089 9757
パスコード: 375145

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2023年11月24日 (金)

西洋古典研究会第84回研究発表会のご案内

西洋古典研究会 第84回 研究発表会 

 

日  時:2023年12月16日(土) 研究発表   13時30分より

     研究発表はズーム会議による同時中継を行います。

     アドレスは12月10日頃に事務局よりメールにて御連絡致します。

 

場  所:日本大学文理学部キャンパス3号館3301教室

     入構時に身分証の提示を求められることがあります。

     その際は、西洋古典研究会に参加する旨をお伝えください。 

 

                          プ ロ グ ラ ム

                           

研究発表(発表30分 質疑25分程度。5時終了)   13:30 より

  1. プラトン『テアイテトス』177c-179bにおける相対主義批判

                       郷家 祐海(慶応義塾大学)

  1. 地下に移された楽園――『アエネーイス』におけるエリュシオン――

                        佐野 馨(名古屋大学)

                休   憩

  1. プラトン『パイドン』における魂の健康と病――「親近性の議論」の分析から――

                          三浦 太一(中部大学)

 

*懇親会は構内で開催できません。有志の方で帰路のお店にて一時をと存じます。

 

■会場のご案内:京王線「下高井戸」または「桜上水」駅下車、徒歩10分程度 

 

      発 表 要 旨

 

   『テアイテトス』177c-179bにおける相対主義批判

                      郷家 祐海(慶應義塾大学)

 『テアイテトス』161c-183bにおいて、プラトンは相対主義と流動説を批判的に検討する。その批判的議論は、多様な哲学的観点から展開されている。このため、それら一連の批判的議論にはまとまりがなく、各々の議論に応じて別々の哲学的論点が独立に取り上げられているようにみえる。その結果、『テアイテトス』161c-183bの一連の議論のなかで、プラトンの哲学的眼目がどこにあるのか、理解することが難しくなっている。

 本稿における私の目的は、『テアイテトス』161c-183bにおける相対主義と流動説批判に通底するプラトンの一貫した哲学的テーマについて、見通しを示すことである。そのために本稿では、177c-179bにおける相対主義批判(以下「未来判断論証」)に焦点を当てる。そこで私は、未来判断論証におけるプラトンの哲学的眼目がどこにあるのか検討する。

 未来判断論証のなかでプラトンは、未来の出来事に関する判断に着目することで、相対主義を批判している。この未来判断論証は、比較的注目されてこなかった箇所だと言える。『テアイテトス』の相対主義批判にかんするこれまでの研究は、169d-171dのいわゆる「自己論駁論証」の妥当性を検証することが中心になっていたからである。結果として、自己論駁論証と未来判断論証はそれぞれ別個に取り上げられることが多く、その関連性について論じられることは少ないのが現状となっている。

 従来の解釈では、177c-179bの相対主義批判におけるプラトンの眼目は、専門知の可能性を確保する点にあると考えられてきた。本稿で私は、この従来の解釈が不十分であることを論じる。その原因は、そこで言われる「専門知」の内実が十分理解されていなかったことにある。本稿で私が提案するのは、プラトンは「専門知」を「二つの判断が対立する」という文脈、言い換えれば「対話的文脈」とも呼ぶべき文脈のなかで捉えているということである。最終的に私は、この対話的文脈を十分考慮することで、未来判断論証が前後の批判的議論と共有する哲学的テーマについて、見通しを示すことを目指す。

 

   地下に移された楽園 ――『アエネーイス』におけるエリュシオン――

                         佐野 馨(名古屋大学)

 本発表はウェルギリウス『アエネーイス』6歌の冥界下りにおいて、死後の楽園エリュシオンが地下に配置されていることについて考察を試みるものである。

 ヘシオドス『仕事と日』の五時代の説話において、英雄の時代の人間たちは浄福者たちの島と呼ばれる楽園に送られたとされている。また『オデュッセイア』4歌においても、メネラオスがエリュシオンの平野に送られるだろうと語られる。このような楽園に関する伝承は、輪廻転生思想などとも結びつきながら、古代世界において語り継がれていた。ウェルギリウスの『アエネーイス』においても、エリュシオンという名で地下世界の一部として描かれ、アイネイアスと父アンキセスとの再会の舞台となった。

 古代ギリシアの楽園にはいくつかの特徴があり、その一つとして、それが地上世界のどこかにあることが挙げられる。オケアノスからの風が吹くという共通した表現はそのことを明示していると言えるだろう。また上述した二つのギリシア叙事詩において、楽園は死者が死後に行く場所ではなく、生者が死の代わりに行く場所とされている。当然、死後の世界である地下ではなく、地上にあると想定されていると考えられる。楽園が地上にあるというこの特徴は、輪廻転生思想を取り入れて魂が地上と地下を行き来すると語ったピンダロスの『オリュンピア祝勝歌』2番に至っても変化していない。

 それに対し『アエネーイス』では、エリュシオンが地下世界の一部として扱われている。『アエネーイス』の地下描写は、『オデュッセイア』の冥界下りに加え、オルペウス教をはじめとする秘儀宗教や哲学思想の影響を受けているとされる。しかし、そうした思想において地下で安息を得られるとされていたことと、安息の地が(地上にあるとされていた)エリュシオンであることの関係は複雑である。その事情を整理してみたい。

 

   プラトン『パイドン』における魂の健康と病 ――「親近性の議論」の分析から――

                         三浦 太一(中部大学)

 本発表は、『パイドン』篇の魂不死証明の一つ、「親近性の議論」(77d–84b)が示唆する、魂の健康と病に関するプラトンの理解を明らかにする。一般的な健康と病の区分けについては、身体と精神の正常な状態と、それに反する異常ないし欠如状態とが考えられよう。しかし、必ずしも病気とは言えない強い身体的快楽や恐怖、欲望の所有も、当議論では魂に最悪の害悪を引き起こす原因となる。すなわち、身体的感覚を通じた激しい情念は、それらをもたらす事物が最も真なるものだという、虚偽の信念を魂に与えてしまう(83c)。だが、本来魂は、神的で知性的であり不死の存在に最もよく似ており(80a–b)、身体から離れ思惟の働きのみを用いて、自らと同族である神的存在に至らねばならない(84a–b)。また、当議論の導入部では、対話相手らは魂が死後雲散霧消することへの恐怖を有しており、ソクラテスには、彼らの恐怖を追い払う呪い歌を議論によって与えることが求められている。以上の文脈からすると、当議論では、魂のあるべき/悪い状態についての一般的見解を越えた規定が示唆され、哲学的対話を通じて、魂が悪しき状態から自らを改善することが期待されている。

 上記の読解では、健康と病という視点から、親近性の議論が有する意義の再評価を行うことになる。『ティマイオス』篇(86b)は魂の病を明示的に規定しているが、『パイドン』でも、ソクラテスの最後の言葉が医神アスクレピオスへの言及であることも含めて、病という主題が研究者たちから注目されている(Betegh 2021, 金山 2014)。また、当議論の不死証明が魂とイデアの間の類似性という曖昧な概念に依拠していることから、議論の厳密性に関する弱さが指摘され(Gallop 1975)、意図的に欠陥のある議論が示されているという解釈もある(Elton 1997)。他方近年では、魂の本性を踏まえた個人のあるべき生き方や(栗原 2013)、死後の魂の在り方を提示している点で(Woolf 2004)、意義が見いだされ、論証の正当性にも肯定的な再検討がなされている(Ebrey 2023)。本発表は、当議論が、魂の病に関する新たな理解と病から回復する実践過程を示唆していると解釈し、その価値を改めて評価する。

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2023年8月 4日 (金)

西洋古典研究会第83回研究発表会 zoom のご案内

 先日この欄でご紹介した西洋古典研究会第83回研究発表会は、zoomでも参加できます。
 zoomで参加なさる方は、以下から入ってください。

Zoomミーティング
ミーティングID: 894 9717 8106
パスコード: 032912

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2023年7月19日 (水)

西洋古典研究会第83回研究発表会のご案内

西洋古典研究会第83回研究発表会
日 時:2023年8月5日(土)研究発表  14時00分より
                
場 所:法政大学市ヶ谷キャンパス 大内山校舎 Y804 教室
     なお、今大会はズーム会議による同時中継を行います。
     アドレスは8月1日頃に事務局よりメールにて御連絡致します。
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                         プ ロ グ ラ ム
研究発表(発表30分 質疑25分)         14:00 より
  1.プラトン『ポリテイア』と「いかに語るべきか」という問題
                       平石 千智(学習院大学)
  2.ギリシア思想史上におけるμῆτις(狡知・策略)の役割
    ――プラトン『饗宴』におけるエロース誕生神話を手掛かりに――
                       梶村 哲矢(名古屋大学)
             休   憩
総 会                       16:15頃 より
*今回は、研究発表会の終了後、来場の方々との懇親の場を設ける予定です。
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□会場のご案内:
交通
飯田橋駅 JR総武線、東京メトロ有楽町線・東西線・南北線・都営大江戸線 
市ヶ谷駅 JR総武線、東京メトロ有楽町線・南北線・都営新宿線
 各駅下車後、JR線線路に沿って徒歩約10分。
 市ヶ谷キャンパス 交通アクセス :: 法政大学 市ケ谷キャンパス
 キャンパスマップ キャンパスマップ : 法政大学 市ケ谷キャンパス
 施設案内(会場Y804教室)大内山校舎|市ヶ谷キャンパス|法政大学 教室設備ガイド
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        発 表 要 旨
プラトン『ポリテイア』と「いかに語るべきか」という問題
   平石 千智(学習院大学)
                   
 『ポリテイア』第3巻では、理想国の中で存在が許される創作物を検討する際に、「①全体が真似で語られているもの②作者による報告のもの③その両方があるもの」の3つに分ける。そして、理想国では③の語り方をする創作物だけが認められると主張される。すなわち、なるべく作者による報告(叙述)の部分を多くしつつ、優れた人の真似は作中に取り入れるといった形式の創作物のみが理想国では認められるのである。創作物に優れた人の真似を取り入れることが許されるのは、優れた人の真似をすることが善いことだからである。すなわち、劣った人を真似の仕方で語る創作物は、それを受容する人々にとっては、それを真似したくなってしまう点で悪いものであるし、それを創作する作者にとっても、創作の際に真似を行わざるを得ないので悪いものなのである。実際、正しい人はすべてを真似る仕方で物語を語ることはなく、優れた人の行為に関してのみ真似しようとするだろうということが396D-Eにおいて述べられている。 
 では、『ポリテイア』そのものはどうだろうか。先の3つの創作物の区別を対話編『ポリテイア』自体に当てはめるのであれば、全体がソクラテスと他の登場人物たちの語りを真似する①の形で語られているものだと考えられる。すなわち『ポリテイア』は、優れた人は全てを真似る仕方で物語を語らないという旨を、全てを物語る仕方で物語るという構造になっているのである。なぜプラトンは、創作物の真似に関する主張を、真似という仕方で語ったのだろうか。本発表ではこの問題について、理想国で用いられる(認められる)大地生まれの神話と金属の神話という物語、いわゆる高貴な嘘の解釈を通して、『ポリテイア』という作品自体が、正義の探求の途上で乗り越えられるべき創作物として書かれていた可能性を示したい。
────
ギリシア思想史上におけるμῆτις(狡知・策略)の役割
 ――プラトン『饗宴』におけるエロース誕生神話を手掛かりに――
   梶村 哲矢(名古屋大学)
                       
 本発表では、ギリシア思想史、特にプラトン哲学におけるμῆτις(狡知・策略)の役割を考察する。μῆτιςの発現による「知」は、ホメロスにおいてはオデュッセウスに代表される英雄の資質の一つとして扱われており、μῆτιςは重要な意味を持つ概念であったはずであるが、前6世紀以降肯定的に評価されることが少なくなっていった。M. DetienneとJ. -P. VernantによるLes Ruses de l’Intelligence: La mètis des Grecs (1974)では、μῆτιςが肯定的に評価されなくなった原因として、プラトンによる観想的な「知」の重視がその後の西洋思想において支配的になった点を挙げおり、プラトンによるμῆτιςの排除を批判している。確かに、μῆτιςは「柔軟さ」を特徴とし、不変の性質を持たない点がその特徴であるため、「知」における純粋性を重視するプラトン哲学では評価される余地は無いと言いうる。また、μῆτιςはその力の発現において「策略」や「騙し」といった、道徳上問題とされうる形を取ることもその特徴であるため、倫理性の観点からもプラトン哲学とは相容れないと言いうるであろう。
 しかし、実際はDetienneとVernantが批判的に検討しているそのプラトン哲学において、μῆτιςは重要な役割を果たしているのである。『饗宴』(203B-E)において、ダイモーンであり「愛知者」としてのエロースの誕生神話が語られているが、そこでエロースの祖先がμῆτιςを神格化したμῆτις女神であるとされているのである。本発表では、この神話に着目し、プラトンがμῆτιςを真正の「知」から排除したのではなく、むしろ知恵を愛し求める哲学の営みの中に取り込んでいる点を指摘したい。『饗宴』でのエロースは、その父ポロスからσοφία(知恵)を受け継ぎ、そして母ペニアからἀπορία(困窮・行き詰まり)を受け継いでおり、両親の性質が一体となって「知者」と「無知者」との中間的存在である「愛知者エロース」が誕生したと『饗宴』では説明されている。そして、ここには父方の祖母にあたるμῆτις女神より受け継いだμῆτιςも重要な役割を果たしているのである。
 発表者は、プラトン哲学においてμῆτιςの「知」はσοφίαを追い求めることをやめない「知的原動力」として作用していると想定している。それは、ホメロス以来μῆτιςの本質として、目的を達成するための「粘り強さ」という面を指摘できるからである。プラトン哲学ではμῆτιςは表面上現れないものの、プラトンによって哲学の営みの中に確かに取り込まれている点を考察してみたい。

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2022年11月27日 (日)

西洋古典研究会第82回研究発表会のご案内

西洋古典研究会第82回研究発表会


日 時:2022年12月17日(土) 研究発表 14時00分より

場 所:早稲田大学文学学術院(戸山キャンパス内)33号館第10会議室(16階)

ズームミーティングによる同時中継を行います(アドレスは12月10日頃に事務局よりメールにて連絡)。

プ ロ グ ラ ム 

研究発表(発表30分 質疑25分程度) 14:00 より
1.アリストテレスの同名異義原理と多重実現可能性について
──感覚における多重実現の問題にむけて── 太田 稔

2.ルキアノスと哲学者
──『ニグリノス』『デモナクスの生涯』をめぐって── 兼利 琢也

□ 会場のご案内:
交通 早稲田駅(地下鉄東西線)から徒歩6分程度
高田馬場駅で都バス「早大正門行」、「馬場下町」下車徒歩3分程度
早稲田大学戸山キャンパス:
https://www.waseda.jp/top/access/toyama-campus
33号館は文学学術院の中心を占める高層ビルで、第10会議室はその最上階です。

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2019年7月24日 (水)

西洋古典研究会 第76回・第77回研究発表会


西洋古典研究会 第76回 研究発表会のご案内

日 時:2019年8月3日(土) 研究発表 14時00分より

場 所:法政大学 市ヶ谷キャンパス 富士見校地 ボアソナードタワー(BT)7階 0705 教室

アクセスマップ http://www.hosei.ac.jp/access/ichigaya.html

プログラム

研究発表(発表30分 質疑25分)

1. 急性病と慢性病の考察 ―『ヒポクラテス全集』を中心に ―

                        福島 正幸(京都大学)

2.アリストテレス『政治学』第七巻第三章 1325b30-32 の一考察  

                      石野 敬太(早稲田大学)

休憩

総 会

懇親会

 

西洋古典研究会 第77回研究発表会のご案内

■ 日時:20191214日(土) 午後3時-510分頃(研究発表)

■ 場所:日本大学文理学部(桜上水)
3
号館3階 3304教室

■ プログラム

        (幹事会:午後2時より)

* 研究発表 午後3時-5時10分頃(160分程度)

  1. アリストテレス『形而上学』Ζ巻第1011章における形相・質料峻別の意義について

                        桑原 司 (上智大学)

─休 憩(10分程度)─

  1. 伝承にみられるキュレネ派「アンニケリスに共感した人々」の思想について ―友愛論を中心に―

                        関谷 雄磨 (日本大学)

懇親会

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2018年11月23日 (金)

西洋古典研究会 第75回研究発表会

西洋古典研究会 第75回研究発表会のご案内

  • 日時:2018 年 12 月 8 日(土)午後1時 45 分ー5 時 15 分頃(研究発表)

  • 場所:早稲田大学文学学術院(早大戸山キャンパス) 33号館6階 第11会議室

    ■ プログラム

研究発表 午後1時 45 分ー5 時 15 分頃(一人 60 分程度)

1. Stat. Theb. 1.314-5 の解釈および Lact. ad loc. の校訂について

長島真以於(東京大学)

2. オルペウス教の神統記におけるディオニュソスの死と再生

齊藤 安潔(中京大学)

──休 憩(20-30 分程)──

3.『タウリケーのイーピゲネイア』1462-7 をめぐるアルテミスへの 奉納品について

浅川英理子(法政大学)

* 懇親会 同じ33号館第11会議室にて,5 時 20 分頃から 7 時 30 分頃 会費 3500 円(当日発表会場受付にてお支払い下さい.)

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2018年7月10日 (火)

西洋古典研究会 第74回研究発表会

西洋古典研究会 第74回研究発表会のご案内

日時:2018年8月4日(土)  午後2時00分より
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー 7階 0706教室
 

アクセスマップ http://www.hosei.ac.jp/access/ichigaya.html

          プログラム 

◆研究発表 午後2時00分より

1. 『変身物語』における神、自然、狂気の結びつき ──9.455-10.502──
                          服部 桃子
2. 知性こそが万有の制作者である、というプロティノスの見解の推移
  ──『エンネアデス』各論攷の成立年代と論駁対象との関連を探る ──
                          豊田 泰淳

◆総会 午後4時30分より

◆懇親会 午後5時30分より
 場所法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー25階 スタッフ・クラブ

 懇親会費 3,500円(当日、発表会場受付にてお支払い下さい。)

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2017年11月22日 (水)

西洋古典研究会 第73回研究発表会

西洋古典研究会 第73回研究発表会のご案内

 日時:2017年12 月2日(土) 午後2時─5 15 分頃(研究発表)

 場所:日本大学文理学部(桜上水)

京王線「下高井戸」または「桜上水」駅下車,徒歩10 分程度

3号館5階 3510教室

 プログラム

 研究発表 午後2時5時15 分頃(一人50 分程度)

1. プラトン『ピレボス』18A5-18D2 におけるテウトの物語の意義

野村 雄一(名古屋大学)

2.アレクサンドロスの知性論再考

   ──Mant. §2, 108. 20–22 の解釈をめぐって──

西村 洋平 (龍谷大学)

── 憩(20-30 分程)──

3.プロティノスと西田幾多郎 ──ヌースの「自覚」的性格──

岡野利津子(学習院大学)

  懇親会 3号館1階「コスモス」にて,午後5 30 分から7 30 分頃

会費 3500 (当日発表会場受付にてお支払い下さい.)


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